日頃から関心のあるテーマについての書籍(随時、感想・メモなどを書き足したいと思います。)

政治(安保政策)
柳澤協二『亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠』2014年
豊下楢彦『集団的自衛権とは何か (岩波新書)』2007年
豊下楢彦『集団的自衛権と安全保障 (岩波新書)』2014年

政治(領土問題)
豊下楢彦『「尖閣問題」とは何か (岩波現代文庫)』2012年
西牟田靖『誰も国境を知らない 揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅 (朝日文庫)』2012年
新崎盛暉『「領土問題」の論じ方 (岩波ブックレット)』2013年
孫崎享『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)』2011年
保阪正康『日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島 (角川oneテーマ21)』2012年
本田良一『〈新訂増補版〉密漁の海で』2011年
浅羽祐樹・木村幹・佐藤大介『徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ)』2012年

政治(財政)
中野雅至『財務省支配の裏側 政官20年戦争と消費増税 (朝日新書)』2012年
諸富徹『私たちはなぜ税金を納めるのか: 租税の経済思想史 (新潮選書)』2013年
佐藤滋・古市将人『租税抵抗の財政学――信頼と合意に基づく社会へ (シリーズ 現代経済の展望)』2014年
小黒一正『財政危機の深層―増税・年金・赤字国債を問う (NHK出版新書 449)』2014年
富岡幸雄 『税金を払わない巨大企業 (文春新書)』2014年
井手英策『日本財政 転換の指針 (岩波新書)』2013年
浅羽祐樹・木村幹・佐藤大介『徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ)』2012年

靖国神社・A級戦犯などについて
吉田裕『昭和天皇の終戦史 (岩波新書)』1992年  小泉靖国参拝以降、「勝者の裁き」、「押しつけ」といった形で東京裁判が非難されたり、A級戦犯の免罪論調というのが高まった。確かに東京裁判は、「裁判」としては問題があるのだが(ただ、示談としては十分有効なものだ)。
 だからといって東京裁判の見解を裏返して、A級戦犯を称揚するような動きは、実に無邪気で稚拙だ。なぜならA級戦犯というのは、天皇や戦後に活躍する保守政治家が免罪とされるために、日本の側から積極的に差し出されたスケープゴート(生け贄)だった。A級戦犯というスケープゴートを用いて、ギリギリのところで免責を勝ち得た宮中(天皇)および戦後保守政治家の駆け引きが生々しく、非常におもしろい。「押しつけ」論からは見えてこない視点を、本書は提供してくれる。東京裁判やA級戦犯を論じる際に、本書を読んでいなければ、まずお話にならない。
 東京裁判を否定したりA級戦犯を称揚したりするのは、再び昭和天皇の戦争責任論を蒸し返されかねない行為なのだが、「押しつけ」論でしかものを見られない者は、自らの言動が自らの足下を掘り崩していることに気づいていない(昭和天皇は気づいていたと思われる)。本書を読めば、A級戦犯合祀後に靖国参拝をしなくなった昭和天皇の意図も、なるほどと分かるだろう。
小島毅『靖国史観―幕末維新という深淵 (ちくま新書)』2007年  国のために命を落とした人を参拝することは当たり前、といって靖国参拝をする政治家が、ホシュ層の人気を得ているが、戦死者を称揚する事自体が、どの程度日本の伝統に即したものなのかを深く考える人は、案外少ないようだ。実は伝統的な日本の神道感からして靖国神社は異質であるという立場から、首相の靖国参拝に待ったをかけたのは梅原猛だった(『論座』「だから靖国参拝はしてはいけない」2001/9)。靖国神社の祭祀自体、明治期に形成されてきたわけだから、当然、明治前・明治後で断絶があってもおかしくないわけだが、梅原が声高に言うまで、靖国の非伝統性には、案外誰も気づいていなかったわけである。
 それでは、靖国に見られる戦死者称揚の祭祀は、いったいどこから来たのか。私はずっと、明治近代化の際に、キリスト教会で行われている祭祀が入り込んできたのではないかと思っていた(誰か実証研究してくれないかと思うが)。西洋の影響よりも先に、実は中国の儒教的祭祀が入り込んで、「靖国」が形成されたということを実証してしまったのが本書である。靖国に行く人も、それが元々あった日本の精神文化・伝統的祭祀と矛盾のないものなのかどうかくらいは、常に自問自答して欲しい。「当たり前」という大雑把な議論で強制されることが、なによりも恐い。

政治(二大政党制をどう考えるか)
日本再建イニシアティブ 『民主党政権 失敗の検証 - 日本政治は何を活かすか (中公新書)』2013年
筒井清忠『昭和戦前期の政党政治―二大政党制はなぜ挫折したのか (ちくま新書)』2012年
井上寿一『政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)』2012年
坂野潤治『日本近代史 (ちくま新書)』2012年
坂野潤治『〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等 (講談社選書メチエ) 』2014年
坂野潤治『昭和史の決定的瞬間 (ちくま新書) 』2004年

政治(日本の政治制度)
飯尾潤『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)』2007年

アジア情勢(チベット問題)
大西広『チベット問題とは何か―“現場”からの中国少数民族問題』2008年

政治(その他)
橋爪大三郎『国家緊急権 (NHKブックス No.1214)』2014年
姜尚中・中島岳志 『日本 (河出文庫)』2011年
新雅史『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)』2012年
佐藤卓己 『輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)』2008年
中野剛志『TPP亡国論 (集英社新書)』2011年
秦郁彦『陰謀史観 (新潮新書)』2012年